青い文学シリーズ(終)「蜘蛛の糸」「地獄変」

原作では古代インドや日本の王朝時代が舞台だったと思うけど、姉妹編に構成したこの二作(本放映では連続放送)では無国籍ファンタジー世界に変換。いしづかあつこ監督の作風であるアートアニメ寄りのモブデザインや鳥瞰やロングショットの多用が印象に残る。兼森義則による久保帯人キャラは相性がいまひとつに感じた。でもカンダタのストリート系やんちゃ顔やら良秀の娘がBLEACHの袖長娘に見えたりとかもちろん雰囲気はあったけど。憎まれ役の王のはっちゃけたファッションと猟奇趣味っぷりなんかが、案外一番久保色出てた気もするなー… 「地獄変」は原作では良秀の狂気の画執ぶりは娘の決意とはまったく関係のない次元にあったと記憶しているけど、このシリーズでは「蜘蛛の糸」で描かれた世の退廃ぶりへの明確なアンチテーゼを父娘で共有したがゆえというアイデアにアレンジされていて、それはいい感じなのにセリフで娘の真意をあらわした点はあまりいただけなかった。