ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

平均的なレベルからみたらノイズとも取れる細かでゆり戻しの多い心情描写がTV版より大きく割愛された(もちろん尺の都合が大前提だけどいつまでも自己問答してる場合でもない時代の雰囲気の変化にも感応していると思う)分、戦闘シーンを主とした設定ギミックやアクション演出の醍醐味が増しているのがまず第一点。さらにドラマ上でも、シンジが抱える“他人に認められたいけど上手くやれずに否定されるのが嫌”というコドモのジレンマとミサトが持つ“責任ある軍人として部下を冷徹的確に動かさねばならないけど暖かな庇護者としてもふるまいたい”というオトナのジレンマがぶつかりあいつつもやがては融和に落ち着く過程が明快にストーリーの山場と同調する事に成功している。つまり、TVシリーズの特性や特徴を再確認させると同時に二時間弱という枠の劇場コンテンツとして端的な魅力の提示をも成り立たせたスマートな出来に仕上がっていると。群像劇としての印象があったTV版から、シンジ、その上に配置されたミサト、護るべきヒロイン的な役割のレイという三者へのクローズアップの切り替えも新しい発見があったし。…なんだかようやくキャラがつかめた気さえするよ。