PERSONA - trinity soul - #14

「狭間の彷徨」:変更されたOPにしろ、慎を中心とした仲間同士の絆がより強くなった本編にしろ、前クールは長く丁寧な前奏だったのだなと。しかしキャラの佇まいそのもので諒が消えてからの半年という時間の流れを描く演出の確かさには驚かされる。慎にはどこか陰りが見えるし、洵には兄の仲間が友人となったことで社会性が付け加わったように感じる。そしてマレビトの一人の暴走からきた街の危機を突然に救ったのはやはりあのキャラ、という定番展開にはなかなか痺れた。とはいえ舞い散る羽根、掻き消えた姿という統馬の件と似た状況からは、依然諒の安否は不明。赤い髪の少女に取り込まれたとすれば、諒の心を取り戻すことが慎の戦いの最優先の動機になりそう。ところで新OPで、顔を手で隠す拓朗とめぐみのカットがすごく気になる。今回本編の描写でも二人の家庭環境がそれぞれに訳ありそうな様子があったけど、そういった普段はあまり表に出したくない情報を隠すのも社会的仮面、ペルソナの役割の一端。とすれば顔を隠そうとして隠せていないOPの叶鳴は、ペルソナを通常レベルで保つ意味づけを持ってない、つまり個人としての欲求を持たされずに生育されたというキャラなのかもしれない。あともし諒が自分から失踪しているとすれば、兄弟の長男としてなるべく自分ひとりで重荷を背負うことで保つ形になっていた社会的仮面が、映子の死によって粉砕されてしまったからでしょうね。だって、諒がもしももしも。映子にペルソナの秘密について打ち明けていたらあの過失は起きなかったのかもしれないのだから。ああ、かえすがえすもつらい話ですよ。