PERSONA - trinity soul - #25

「謂れなき喪失」:深夜の浜辺で慎は在るはずだった家族の夢を目覚めたまま見る。焦点を失った眼に口元の穏やかな笑み、その背後には点々と座るくじらのはね待望症候群の人々。なんという末法の世! とんだユーフォリアだぜ! いやー、でも分かるのよね慎の気持ち。全てを失くしたかのように思ってしまってもはや現実逃避以外に幸福はないと… しかし、あの健気で明るい次男坊がと、開始当初の姿を思い出すと切なくはある。それ以上に痛々しいのは事態収拾のために走る真田の前に顕現した諒だけど。くじらにとりこまれた諒にとって、最も良い道はいまや人類補完計画なのね。みんな一つになって海の底でまどろみ続ける。一方、くじらの代弁者とでもいうべきアヤネだけど、彼女の意思はいっそうわからない。アヤネが慎に何を求めているかはおそらく彼女自身にもあやふやで、現実に帰還したいのかくじらの中でたゆたい続けるのか、自分でもどちらを求めているか分からないって感じなのでは。アヤネの器バイオロイドはというと、アヤネに操られているみたいだけど、 それでどう用いられようとしているかは謎。とはいえ、今回は比較的セリフで説明している箇所が多く、それでいて叙情性もたっぷり入る余地があったバランスの良い出来でした。作画水準も上々。ところで本作における『ペルソナ』とは何なのか。今回の諸問答でも答えは一つの単語に収まるものでもなかったところを見ると、あえて制作側はぼやかして描いているようでもある。