二度と戻らぬ

二度と戻らぬ

二度と戻らぬ

毎度ながらの賭博魂+全共闘的反権力精神(公権力腐敗の具体的知識って、やはり賭博仲間のその筋の人から聞いてるのかな)が二本柱ながら、今回は主人公の一人がキャリアウーマンということで昭和ドラマを思わせる叙情恋愛描写が印象的に機能しており、これまでの作者の小説仕事では一番好きかも。しかし女性の言葉使いがなんか料亭の女将みたいに不自然なまでの丁寧はんなりさなのはやっぱり気になるよ!! ハイヒールの文化史を批判的に挙げながらも性対象としての女性への美意識は別物というあたりが、人間の矛盾ぶりをナチュラルに呑みこむ森巣世界の魅力とは分かってるけどさ、限度ってのがあると思うなあ。