炎のなかの絵

炎のなかの絵 (異色作家短篇集)

炎のなかの絵 (異色作家短篇集)

響きが美しい表題作は浮かれた映画マネジメント業界を舞台としたもの。オチは鮮やかだけど、どうもそれまでが冗長に感じられるきらいもあった。印象に残ったのは行動力ありすぎな雄ノミの活躍譚(これも映画業界の話だ)『ギャビン・オリアリー』、毒キノコのカラフルなイメージがコミカルに夫婦間の敵意を彩る『死の天使』、いきすぎた倹約を効果的に皮肉った『保険のかけ過ぎ』等々。それにしても『鋼鉄の猫』のラストセンテンスはかなしい。功利追求への疑心は作者の特徴の一つ?