未来を花束にして('15 イギリス/監督:サラ・ガヴロン)

女性参政権を求める運動に加担していくことになるヒロインだが、彼女の容貌は丸顔で一児の母ながらいまだあどけない。現代の目からみてもとりたててマチスモに見えない夫(なにせ配役がベン・ウイショー)への演出とともに、ステレオタイプにならないための細心の配慮が随所に見られる。それはヒロインが属するサフラジェットを取り締まる刑事の描き方も同様で、またヒロインをののしり嘲笑する隣人たちにしても、彼女が行動を起こした事そのものを非難しているというより、行動を起こす自由を認めた上でなおかつ時代に即していない点を白眼視しているように撮られており、個人の内心の自由を否定しないかの国とわが国との差異に思いを馳せた。クライマックスの事件についても、評価は宙ぶらりん。ただそこに確実にあるといえたのは、切実さ、そして連帯であった。