NHKプレミアムよるドラマ「嘘なんてひとつもないの」(脚本:藤本匡太、篠原誠/演出:萩原健太郎)

高校時代に受けた友人の裏切りから立ち直れずに、数年のあいだ家から一歩も出ずに暮らしていた主人公(須賀健太の鬱屈演技が可笑しくも生々しい)が、どっきり企画のテレビ番組に翻弄されつつ、ずっと夢見てきた飛行機パイロットの資格試験に挑戦するか逡巡するというストーリー。現実離れした箇所もあるが、30分×4話という短い尺の中で、息子と母、ひきこもり青年と一般的同年代少女という縦と横の綾なす線を描いた演出にブレがなく、コメディ基調で社会問題を扱うことで軽やかさがあって爽やかだった。世の中に真実がないのと同じように、100パーセントの嘘もおそらくはない。なお、OKAMOTO'Sが担当したテーマ曲『時差』の音源発売が待たれる。