五日物語 3つの王国と3人の女('15 イタリア、フランス/監督:マッテオ・ガローネ)

おとぎ話の可憐さと酷薄さがギトギトにならない手前加減で詰まっていてとても好みな作品。海の怪物のあえての着ぐるみ感もけっしてちゃちではなく、かりそめの美女がふたたび皺に覆われた肌にもどっていくCG処理もエフェクトをやりすぎていない。
あらゆる人生において勝者と敗者の瞬間がそれぞれに訪れ、善意や愛情は報われるかどうかとは関係なく確かにそこに存在する。塔の上の綱渡りを満面の笑顔で眺める王女の晴れやかさと、ひっそりと泣きさる魔女の対比に単なる悲しさ以上のものを感じて、実際この身に沁みてつらいほどだった。