万物は流転する

万物は流転する

万物は流転する

20世紀前半におけるソ連の、粛清と飢饉にまつわるセミドキュメンタリー・スタイルの小説。一人称と三人称をパッチワークのように縫い合わせた手法で、ときに二人称的な近さにまで筆者の語り口は読者に接近して、あまりにも過酷な自然と政治との逃れようのない大きな渦への直視を促す。虚構部分である主要人物たちのドラマの行く末も寂寥としたものだが、実際に残酷な現実を歩んでいった人々への鎮魂歌として、他にない強い印象が読み終えた後には残った。