とうもろこしの乙女 あるいは七つの悪夢

未成年の少女から夫を亡くした既婚者にいたるまでの幅広い年代の女性を取り巻く環境を、リアルに描き出していてその筆致にも唸らされるが、構成のスタイルの無尽さの方により驚かされた。ベタなオチすれすれに着地してかえって意表をつく作品、主要人物への評価をぐらぐらと揺らして描写の真偽すらボヤかす技巧の大胆さ。それらが一冊で同時に味わえるのは、多くの著作を重ねてきたキャリアの長さのたまもの。