夢の遠近法

夢の遠近法 山尾悠子初期作品選

夢の遠近法 山尾悠子初期作品選

数年前に出た「山尾悠子作品集成」のセレクト版といった企画。自作解説も付いており、自分も新顔ファン系なので親切な入門編としてありがたい。水をも洩らさぬ緊密な幻想世界のために容赦のない展開が多いなか、京都を舞台とした親戚の少女萌え小説としても読める『月蝕』の異色ぶりが一際印象深い。熱に浮かされ続けるかのような『傳説』のイメージに徹した構造にはうっとり。