まじめの崩壊

まじめの崩壊 (ちくま新書)

まじめの崩壊 (ちくま新書)

「まじめ」を共同体や組織への忠誠度という意味に絞っての論考…というよりも未来に向けた警鐘が主旨。うつ病にかかりやすい『メランコ人間』と統合失調症にかかりやすい『シゾフレ人間』とに性格タイプを分ける(現代では付和雷同を世渡りの手段として身につけた後者が多数派というのが著者の見立て)点は印象に残るけど、再び生真面目なメランコ人間を増やすことで治安をコントロールしたり、国際競争力を高める必要があるという主張は目新しさがなくてやや退屈。具体的な段階策が提示されるわけでもないし。いっそ、日本語での“まじめ”とはいかなる意味を社会へと投射しているか、という成り立ちの時点から論を始めてほしかったかもしれない。