「屍鬼」全22話視聴完了

ビデオグラム版では他に2話あらたに収録されるそうなので、正しい話数表記ともいえないが。終盤にややバタバタした雰囲気は感じ取られたが、それを補ってあまりあるほど最終話の完成度が高い。はじめて安心して暮らせるはずだった自分たちのコミューンの夢に執着する屍鬼サイド、これまでどおりの運命共同体としての地縁を侵す存在への断罪をこなす村人サイド。どちらにも傾かない絶妙の脚本、会心の演出。『生きるということは、それだけでつらいこと』。答えはないけれどたった一つのその訴えだけが残響する。村を最後まで否定していた恵、すべての強要する他者への反逆を貫いた夏野。似ているような彼らですらまったく通じあう事はなかったのだから。唯一確かに育まれた絆が、あらゆる生者のことわりから放逐された沙子と静信との間だけだったという結末もひどく寂しい。そして彼らの末尾のダイアローグは美しかった。