いばらの王-King of Thorn- ('10/監督:片山一良)

いばらの王 -King of Thorn- [DVD]

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ミステリーもサスペンスもホラーもSFもファンタジーもアクションもモンスターもパニックも入っていて、それが大まかな理解を妨げないギリギリに調和しているとてもバランスの良い楽しめる映画でした。ハリウッド映画にはないこまやかな人間の精神面へのアプローチにてメジャー系との差異化にも成功してるし、かといって限られた層にコアに迫るタイプの間口の狭さもない。オススメの秀作です。個人的に一番感心したのは、物語原型、アーキタイプが持つ人間への影響力の光と闇を並立して描いていた点。メインもモブにも生命の重さに区別を付けないタイトな演出に負けないほど脚本が佳い。作画面での特筆事項はカメラが寄り過ぎないシーンでは人物も3DCGで動かしている点。これは、静止画でないゆえにあまり気にならずに、リソース分配として納得できるものだった。実際、背景はかなり緻密だったし。