追伸

追伸―二人の手紙物語

追伸―二人の手紙物語

1989年から1990年にかけて『まんがオリジナル』誌で掲載されたオールカラーの短編連作の復刊。登場人物が美形なわけでもなく、その暮らしがモデライズされているわけでもない世界観のなか、最大公約数なやりとりのようでいて、同時に関係性からくる必然を強く感じる恋愛の発展が、手紙によって交わされる。携帯電話が普及していない時代である。一般的な商業漫画に見られる効果線も、劇的なコマ割りも用いられない中、かえって作中の二人の心の流れに寄り添わされる巧みさが非常に渋い。一人ぐらしを始めた人、そのころを懐かしむ人、遠距離恋愛中の人、新しい目標に挑戦している人などに特にオススメ。