おはよう、水晶 - おやすみ、水晶

おはよう、水晶―おやすみ、水晶

おはよう、水晶―おやすみ、水晶

笙野頼子の、ときに息継ぎなしで綴られるような文体をなぜ自分は求めつづけるのかここにきて考えるようになったのだけど、それは“他者”の内面世界をのぞいてみるという読書の原初的衝動に基づいた範疇にあると納得すると同時に読み終えたりした。つじつまが合わなくなったり、渦に巻き込まれていく感覚の心理の中で、結晶されたちいさな曇りに、拓けた空はあった。おはようとおやすみを、内と外につぶやくことで日々を息することができる。