マイマイ新子と千年の魔法('09/監督:片渕須直)

マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]

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うーむ。自分にとっては今一つ散漫な作品。美しいイメージが喚起されるシーンはいくつもあるものの(たとえば川遊びしている子供たちの前に赤い切り紙が流れてくるカット)、時間や世代を越えて繋がりあう共感の瞬間が響いてくるには、脚本段階での踏み込みが甘すぎるように思う。大人の精神生活の矛盾を描きたいならば子供ならではの野蛮さがあまりにも希薄な点がアンバランスに思えるし、また平安時代と昭和との心理ギャップをもっと直截に感じられるように描かねば、時を超える感覚の重要さが活きてこない。同じ監督による「アリーテ姫」では活きていた世界への視点の淡さが、ファンタジー色のない舞台ではマイナスに働いているのではないかというのが自分の視聴後感。