残念ながら発行時期的に
シンエイ動画を退社した後(に封切)の「
河童のクゥと夏休み」はフォローから自然もれているが、初期の注目作「
エスパー魔美 星空のダンシングドール」から「
クレヨンしんちゃん」の担当劇場版まで網羅されたインタビューを主とした監督個人研究本。生い立ちから話を聞いており、特に入社前後がギリギリ“アニメ制作会社古き良き時代”にかぶっているかのような
不定形な生活感からくる興奮が伝わって印象が強い。個人的に記憶に残った豆知識としては、監督の初期発想によればチャコは三十代、声優の
小林愛を見出したのは「
ターンエーガンダム」で本編そっちのけでその声質と演技に魅せられたというくだり等。あと絵コンテが複数頁載っているのも構成的に重要。それと巻末付録的なアジアふらふら旅行時のスケッチも鋭いながらも肩の力の抜けた観察眼が知れてふつうに面白い。