Genius Party Beyond('08/STUDIO4℃)

Genius Party Beyond (2枚組) [DVD]

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五編のアニメによるオムニバス。前田真宏「GARA」は躍動感がキャラともども愛らしいが比してオチが弱い。この人に一番向いているのはコンセプトデザインだと思う。中澤一登「MOONDRIVE」はデザインと世界観ともどもにキッチュなデフォルメ。どこかで見たようなという印象は拭えないけど女性キャラのセックスアピールは相当な。大平晋也「わんわ」は前作に参加していた湯浅政明と似た傾向な素朴アートアニメの肌触りだが、湯浅の不安さが漂う世界観とは真逆なほのぼのとした暖かみがあって、比較してみると面白かった。田中達之「陶人キット」は映画としての完成度がズバ抜けている。時間が短く感じられたのは正直いうとこれだけ。セリフを極力少なくして、背景やキャラの表情、そしてアニメートという名の演技のみで世界観や心情を表現しきっており、どこか分からなさを残しているのもいい。あと佐野史郎はアニメ声優としてもほんといいよね。森本晃司「次元爆弾」はキャラクターの動き、特にダンス部分やエフェクトが目に心地いい。しかしすべてを持っていくのは、良い意味でうざすぎる菅野よう子の演技なのであった(笑) …全体としては、前作にくらべるといわゆる神アニメーター、作画系ファンに対応した顔触れという色合いが濃くて企画として意外性に欠けたかなと。でも、前田真宏のこれまで見つけられなかった魅力を感じとれたのと、田中達之の作品性の高さに出会えたのは幸いでした。