ダンナ様はFBI

ダンナ様はFBI

ダンナ様はFBI

流行りの夫婦エッセイではあるけど、FBI捜査官現役時代に任務で来日していた夫と出会ってのちにプロポーズを受けた、古風さと合理性を兼ね備えた家庭教育を受けたことを窺わせるライター業の妻がいかにして押しの強い議論を遠慮会釈なくふっかけて生活や職業上の慣習に揺さぶりをかけて来る連れ合いと暮らしていくかという、一種のハウツー本になっているのが面白い。読んでいる方にまで自分たちの前進あるのみというスタイルを押し付けてくるという匂いはまったくないが、それでも彼女と彼のパワフルさは一目瞭然でその点においても類似のエッセイ本とは毛色の違うものに仕上がっている気がする。しかし前後にカゴの付いた自転車を「Agry(醜い)」と言い切る国民性の違いにはなんというか目が覚まされるし、いちいち外部のトイレを使う時に他の個室に誰かが潜んでないかチェックするという偏執狂ギリギリな描写には思わずツッコミを入れたくなる。全体的に笑えて気楽に読めます。