それでも、日本人は「戦争」を選んだ

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

日本近現代史が専門である大学教授が、歴史研究部に属する高校生を集めて特別講義した内容を書籍化。日清戦争から太平洋戦争終結までを最新の研究内容にて辿る。…が、あらためて知ったのは、清朝が倒れてからの中国の混迷ぶり。日本の遅れてきた植民地主義はそこに付け込む形で進むので、状況が細かく変化しており、理解がとても難しい。それと印象的だったのは欧米諸国と“後進国”の関係はまだまだ非対称ぶりがあからさまだったということ。この点から目をそらせると、当時の日本国民の戦争を後押しした心性に同一化するのは難しい。そして大きな視点としてきちんと講義の最初で述べられたのが、歴史を学ぶことで過ちを防げることもあるが、必ずしも常にそうであるとは限らないという事。それでも、歴史はきちんと検証されていかなければならない。これが加藤陽子教授が伝えたかった芯の部分のように思う。読んだ後、世界観が変わる力作です。