ETV特集「「斜陽」への旅 〜太宰治と太田静子の真実〜」

太宰治と太田静子の関係性を非嫡子である太田治子が追うという番組。下世話だが、手紙の欄外に脈絡なく「コヒシイ」と書いたり二度目の面会でいきなり「静子はもう一人じゃない」と言うとか、太宰の天然たらしぶりが半端なかった。作家志望だった静子の日記を基にして「斜陽」を書き上げた直後に子供ができたと告白されて、その後はろくすっぽ会いにこなかったというあたりさもありなん。…でも太宰はそんな自分の在り様に悩んでいたのも事実なんじゃないかとも思う。そのあたりは、娘である治子のテレビカメラに映された一度も会っていない父への戸惑いとどこかオーバーラップするようで、番組として見ごたえがあった。ところで静子が母親と転居し「斜陽」の舞台ともなった別宅の在所、小田原市下曽我が過度の俗化から免れたようななんとも趣のある土地で自分が十代の頃に「斜陽」を味わって想像したままの場所だった。ハイカラを取り入れた屋敷とあわせて。あと太宰の生家のあまりの大きさ、門構えの豪勢さには思わず笑った。部屋が19あるて。