河童のクゥと夏休み('07/監督:原 恵一)

オオオオオオオオオオッサンーーーーーー!!!!!! …泣いた。劇中で描かれた数々の美しい水(あと精細だけど手書きの味をちゃんと残した背景もすばらしいよ)のごとく涙を流した。ハンパない演出力の人なんだな、原監督って…… まず大衆心理(群集心理より日常的なのが特徴)を描いている事(かわいそうにねぇと言いながらデジカメ向ける品の良い老婦人なんてパンチ効きすぎだろ)、一抹の救いであるつながりの真理を得た後でもやっぱり人生はのろのろと蛇行を続ける事を明確に企図している事(繊細ないじめられっ子・菊池のラストカットの足取りの重さに注目)、相手を思いやりつつも自分や家族を芯まで犠牲にするなんて誰にも出来やしない事(クゥが下した決断の細部を誰も最後までつきつめて責任を持とうとはしていない)…これら、ごくふつうの人生の真実を提示しつつ、それでいてこの映画はハートウォーミングな家族ものだし、ワクワクする妖怪居候ものだし、ちょっと気になる女の子を意識しつつある少年の青春もの…そういった複数の重なり合うジャンルが調和して、エンタティンメントとして二時間以上の尺を退屈させないように出来てる。ほんますごいわぁ。特におかあさんのふっと見せる表情とかすごかった。