メメント

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森達也の優柔不断芸が極まったエッセイ集。けなしてないよ。世界は分からないことだらけだという本著でもくりかえされてる氏の主張には全面的に賛成するし。締め切りに追われ続けたという印象の構成になっているが、特に中盤で台湾に行くあたりが凄い。台湾旅行記自体も相当グダグダな中身となっているが、予告された後編部分をまんまと自分でキャンセルしているあたりにただならぬ疲労感がうかがえる。氏が全身ドキュメンタリー作家である事がよく分かる一冊。ところでBSアニメ夜話の「鋼の錬金術師」回でゲスト出演したそうで、原作から入ってアニメも局から送られてきたDVDで見たということで非常にめずらしい氏のアニメ作品評が読めたのは思わぬ収穫。説明やっぱり上手いわ。アニメ版のオリジナル部分について初めて把握できた。あと會川昇(年配の男性と記述されてるけどせいぜい四十代じゃなかったっけ)の人となりが知れるのも見所。いきなり「下山ケース」の問題について訊くんだ…