怖い絵2

怖い絵2

怖い絵2

“順風満帆のまま人生を終えた画家がこういう絵を描いた事にむしろ凄みがある”と言外に記したように読める「ルーベンス『パリスの審判』」の章、視点倒置の瞬間を的確に誘う正統派解説風な「エッシャー『相対性』」の章、陰惨でスキャンダラスな裏事情がほとんど講談調に述べられて強い印象を与えられる「フォンテーヌブロー派の逸名画家『ガブリエル・デストレとその妹』」(この絵は日本の化粧品企業でイメージマークの原案-双美人?-に用いられている気がする…)の章など、前巻同様に複眼的思考で好奇心を十全に刺激される。有名な絵と知る人ぞ知る作品とのチョイスバランスも相変わらず絶妙で、今回知れたラファエル前派に位置する「ハント『シャロットの乙女』」がふつうに絵画として新しく好きになれたりもした。