江戸時代の絵画芸術への独自視点において定評のある著者が、
北斎が挿絵本においても目覚しい活躍をしていた事実がいまだ知られていないことに着眼して、資料集めをはじめたことに端を発してまとめられた一冊。歌川派などの作品も合わせて100点もの図版を収録。現代漫画とグッと距離が縮まる効果線やふきだし活用の部分が特に
インパクトが強い。
黄表紙と読本、合本の違いについての解説も分かりやすかった。それにしても当時の庶民読物の筋のはちゃめちゃさといったら。あらすじ紹介を読んでいても、惨殺、孝行、因果応報、怪異といったケレンばかりが目についてストーリーの主軸がどうにも理解しづらい。…いうなれば今の土6(日5)アニメや
ケータイ小説みたい。もしかして今は虚構技法において先祖返りしているんだろうかとも思ってみたり。