「ニッポン社会」入門

「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)

「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)

十年来東京に在住する、1970年生まれのイギリス人特派員によるガイジン感想記。前半は口当たりも軽く多分にリップサーヴィスも混じっているエッセイ仕様だけど、終盤の数章は日本社会、イギリス社会双方の互いへの無関心やステレオタイプ・イメージからくる誤解の多さについて語るコラム仕立てとなっており、その重層的構成そのものが日本で暮らすガイジンが抱く複雑な気分を示しているのがミソ。それにしても、イギリスで高級紙とされている「デイリー・テレグラフ」がいかに日本にまつわる報道を軽視しているかについて関係者かつ当事者として述べた章は、昨今の毎日新聞外国人向け記事の下劣さとシンクロしていてなかなかにショッキング。あちらにとっては、日本というのはいまだに架空の国ジパングといった程度のリアリティなのかも。他では、東京においていかに白人男性が優遇されるかについて無垢に述べている各箇所や、イギリス人はたしかに食を文化として捉えることに関心が薄いが、食の内容自体に劣るわけでは決してないと具体的実例を挙げて弁護する章が印象に残った。なかでも、スーパーで売ってる安いティーバックでも美味しい紅茶が飲めるというのはしみじみうらやましいなあ…