小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所

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日本推理作家協会に登録する名だたる小説家七人が週刊プレイボーイ誌上で発表したトリビュート作品を一冊にまとめたもの。原作読者として目に付いたというか面白かったのは、麗子の口調を「○○でーす」といったやや浮ついたものとして記述している作家が複数いたことで、これは多分アニメ版からの影響が大きいものと思われる。原作版ではもっとセレブ寄りな雰囲気だからね。あと自作とのクロスワールド割合が大きかったり(大沢在昌石田衣良、柴田よしき)、得意分野での描写に多くを割くことで大回りにこち亀の世界に接近していたり(今野敏京極夏彦)、構成上に緩急を施してミステリー的娯楽色を高めていたり(逢坂剛東野圭吾)と作家それぞれの持ち味がきちんと出ていて、文章密度はゆるめながらもかえって気軽に楽しめる出来になっている印象。それにしても東野圭吾の淡々と飛び道具を使う手管にはいつも不意をつかれるなあ。いくら後で録音テープを上部に提出したとはいえ、両さんに連続殺人犯への一種の取引を持ちかけさせるというのは限りなくラインぎりぎりだろー