ハイビジョン特集「サティのうた」

今月のNHK-ハイビジョンは天才とか才人といった人々が特集テーマだそうで、三夜連続で現代音楽の巨匠をそれぞれ取り上げており、その第一夜。19世紀末から20世紀初頭に生きたフランスの作曲家エリック・サティ権威主義クラシック音楽界にあって『家具のような音楽』を目指した異色の総合アーティストという感じでもあったらしい。困窮と社会からの不理解がその生涯の基調であったようで、最期の様子も病院のベッドでわりと孤独かつ苦痛に苛まれたものだった、とのこと。サティはドビュッシーやラベルと同じ時代に活躍した人なんだけど、彼らの音楽とくらべてあまりにもモダンかつカジュアル。いわば、モーツァルトにも似た位置に立っていた作曲家なんだと思う。最も有名な代表曲は『ジムノぺディ』。『グノシエンヌ』や『あなたがほしい』ともどもよくCM等で使われてるので、誰しも一度はサティの軽快かつどこか陰影も感じられる曲に出会っていると思う。個人的に思い入れが少々ある作曲家なので、なかなか面白い番組でした。ふんだんに織り込まれていた演奏も良かった。パントマイマーを狂言廻しに採用したり、パリをロケーションに幻想的なイメージ映像を作る趣向の凝り様もNHKならではという感じ。ところで、サティが一時期住んでいた「四つの煙突があるアパート」とかいう呼び名の建物が映っていたんだけど、それと通りの様子がこの前読んだ小説『ラナーク』の表紙挿画にそっくりだった。思わぬモデル発見。