シリーズを折り返したためか「墓場鬼太郎」が飛ばしてきてる。#9『霧の中のジョニー』もぼっとん便所に落ちる目玉おやじという強烈な展開や、吸血鬼ジョニーに江原正士をあてることで嫌たらしい(顔色が青いのがなんとも薄気味悪くて最高)中にあるかすかな色気(腐っても吸血鬼、である)が匂ってきて、かつて原作を読んだ(私の記憶では鬼太郎に振るまわれていたのはショートケーキなんだけど… でも国会議事堂の食堂名物といえばライスカレーだそうだからたぶん自分の勘違い)折の雰囲気がばっちり味わえた。けど、もっと完成度が高かったのは#8『怪奇一番勝負』。食いっぱぐれの貸本漫画家(実際に若死にしたという原作者の知人がモデルっぽい)を狂言廻しとすることで、鬼太郎側と居つかれた家主側双方の不気味さが十全に表現されていた。ほんとどっちが怪物でどこが地獄か分からないってな風。ジャイアント馬場みたいな大柄な家主の男が妙に金髪妻にぞんざいな口をきいていたり、怪異に対してやけに耐性があることが、終盤に明かされる青髭(このヨーロッパ民話は子供の頃はじめて強い衝撃をもらった怪談だったかも)的犯罪の淡々とした暴露によって一気に合点がいく。その流れの滑らかさが、ぶつっととぎれるオチの効果とともに実に水木作品の上質な気持ち悪さ、ないしは居心地の悪さを伝えていて見終えた後はかなり興奮した。あとビビビビびんたがようやく忠実にアニメートされとる!!すげーすげー