ヴォイス

ヴォイス (西のはての年代記 2)

ヴォイス (西のはての年代記 2)

児童文学として考える分には申し分ないさすがの品格の作品になっているけど、やはり最盛期の頃と比べると全体に満ちる硬度が物足りないなとは正直思う。けど、女性の語り手が少女時代を思い出しての一人称で綴られた形式というのが、個人的に大好きな「オールウェイズ・カミングホーム」の一節を思い出させられて嬉しくなってしまった。大きな屋敷に親族縁者で住むという習俗設定も似てるし。同じ『西のはての年代記』シリーズの前作「ギフト」(主人公は成熟して本作にも登場)は、生まれ持ったが望む形とは違った才能を自分自身がいかにとらえるかについての物語となっていたわけだけど、本作は他者の生の声を無心に聞く姿勢の大切さについて語られている。やはり、10代が読むべきカテゴリーとして出版した方がいいと思うんだけどなあ。