奇想コレクションで
スタージョンが編まれるのは実に三回目。そろそろさすがにまったりした雰囲気になってきた。特に今回、序盤二つ分はSFやファンタ
ジー要素のない一般文学ジャンルだし。ただ『午砲』なんかはややひよわなところもある自意識強めの若者が、気合と決意のみで野蛮な者に対抗するという自伝的作品ということで興味深い。編者解説でも述べられているけど強くもあり弱くもある、まさしく中庸な人だったんだろうなあと。個人的にはなんだかあきらめないぶりが
福満しげゆきっぽいとか思ったり。収録作6編のうちで最も好きなのは主役も物語の転がりどころも最後の方まで分からない『必要』。ヤな感じのひねくれものと彼をつかずはなれず、しかし暖かく見守る雑貨屋といったキャ
ラクターが粒ぞろい。同じくキャ
ラクターが多彩な表題作もよかったけど、設定にちょっとついていけないところもあった。観測者たちの目的が実はよくわからなかった自分の理解力にトホ。ともあれ、全体的に一般小説よりでそれゆえに
スタージョンの構成力や描写のこまやかさ、ア
イデアの活かし方の独自性がより際立つ面もありました。でもやっぱりこれまでの二冊とくらべてラインナップが地味かなー。