ナイト・ウォッチ

2005年のロシア製SFファンタジー映画。人類と並んでひっそりと生きてきた『異種』。「魔女」「魔法使い」などと呼ばれてきた彼らは能力が顕現した時に自ら選ばなければいけない事がある。「闇」の側に付いて世界の破滅に手を貸すか、あるいはそれを監視して抑止する「光」の側に付くか。そして古代に予告された“世界を終わらせる者”の目覚めの予兆が観測される時がついにやってきた… というわけで、今回のシリーズ第一作(でも続編情報きかないなあ)はいってみればスターウォーズシリーズのEP1から3をコンパクトにまとめたような感じ。ただし主人公はアナキンではなくて、というのがドラマ上のミソ。ストーリーや設定は異能力者の憂鬱を題材としたダークな雰囲気のアメコミを思わせるところがあるけど、舞台立てや心情演出、キャスティングなどは(当たり前だけど)非常にロシアらしくて、自分がここ数年いかにハリウッド映画の紋切り型に飽きていたのかはっきり自覚できた。日常生活感がとてもいいですよ。特に主人公(軽く中年でへタレ見習いエージェント。ルックスもなんか半端)が“呪われた乙女”をみつけて地下鉄の中で奇声をあげてまわりから白い眼でみられるあたりがいい。なんかロシアでは酒瓶かかえていびきかいてる酔っ払いとかざらに乗ってるらしいよね。あと特殊撮影部分が悪くいえば垢抜け度が足りず(映像処理演出自体は目新しさがあるけどね)、良くいえば手順をちゃんと追って設定の独自性に沿ったものを見せてくれるのでその点が一番気に入りました。今回のシリーズ序幕編のオチがはなかなかやりきれなさがあるものだったので、ぜひ続編が見たいなあ。