ヴィジット('15 アメリカ/監督:M.ナイト・シャマラン)

CATVにて鑑賞。会ったことのない祖父母のもとで一週間過ごすために初めての僻地へ赴く15才と13才の姉弟。シングルマザーの母を気遣いつつも明るい二人に、祖父母は序々に異様な顔を見せ始める。
…いま現在、ゆるやかに脳機能が衰えつつある両親と暮らしている私には、他にない恐ろしさを持つホラー映画だった。愛する家族の中に居る他人、善良で温和な者が見せる狂気、整然とした生活のほころびとして現れる汚れ。エピソードでは凄惨で理不尽な体験を見事に消化してみせた主役姉弟の健全なその後が描かれていたが、シャマラン監督はほんとうはそれらを付け足すつもりではなかったのでないかという疑念がむくむくと頭をもたげた。世界は常に不気味な顔を隠しているものだというのが、シャマラン映画の特徴に感じられるから。

怪物はささやく('16 アメリカ・スペイン/監督:フアン・アントニオ・バヨナ)

重い病が好転しない母と暮らす少年。彼の元に幻影の怪物が夜毎訪れて三つの不可解な物語を聞かせる。そして怪物は少年に、自らの物語を話せと迫るが…
怪物の描写がややハリウッド的で、もっと情緒的かつクラシカルに見せてほしかったなと思う。
児童文学を原作にもつ映画としては、テーマの持たせ方は印象として胸に残り、その点は成功している。
主人公をいじめるクラスのリーダー格の少年が、単なる性格の悪い悪役として描かれていなかった点が一番良かった。