ヴィジット('15 アメリカ/監督:M.ナイト・シャマラン)

CATVにて鑑賞。会ったことのない祖父母のもとで一週間過ごすために初めての僻地へ赴く15才と13才の姉弟。シングルマザーの母を気遣いつつも明るい二人に、祖父母は序々に異様な顔を見せ始める。
…いま現在、ゆるやかに脳機能が衰えつつある両親と暮らしている私には、他にない恐ろしさを持つホラー映画だった。愛する家族の中に居る他人、善良で温和な者が見せる狂気、整然とした生活のほころびとして現れる汚れ。エピソードでは凄惨で理不尽な体験を見事に消化してみせた主役姉弟の健全なその後が描かれていたが、シャマラン監督はほんとうはそれらを付け足すつもりではなかったのでないかという疑念がむくむくと頭をもたげた。世界は常に不気味な顔を隠しているものだというのが、シャマラン映画の特徴に感じられるから。