またぞろ秋口のように肌がぽりぽり痒くなってきてるが、疑うべき原因の思い当たる節が多すぎて、その数まったく絞れない。病院に行くほどでもないし、塗りやすい液体ムヒでも買ってきて気を紛らわすか…
ある精肉店のはなし('13/監督:纐纈あや)
関西のとある街で数代にわたって引き継がれてきた精肉店。かつては牛も飼っており、飼育から屠畜、精肉に販売まで家族経営で行っていたが、時代の流れに沿って、生きた牛を扱う業務を店じまいする決断をした。一家の、最後の肉牛解体までの数ヶ月を追ったドキュメンタリー。まるで同居生活を送りながら撮ったような、和気藹々としたホームビデオに似た肌触りが印象に残る。眉間をハンマーで一撃ちして牛を横倒しにする直前、一家の主は牛に『大丈夫、大丈夫』と語りかけて落ち着かせようとする。それは、(今からお前を食べるために殺すけれど、最後まで生き物として扱うから)という意味に自分には感じられた。そしてそれ以前のカットにあった言葉『肉を買う人は、育てた牛をバラして食べるなんてすごいねと言うけど、わしらからしたら、何も知らないで美味しいねって言って食べてるあんたらの方がすごい』へと想像の射程は至る。部落差別運動への想いをさらりと語ると同時に、地域の祭りを一年の特別な楽しみとして自然に楽しむ一家の様子を、カメラは水平に追っており、人が生きるという内容の一編の詩をよんだような気持ちになる映画。
スイーツ本部長 一ノ瀬櫂
既刊1巻。モーニング本誌に出張掲載された時はなぜかいつもイチゴのショートケーキを作っていた印象のある本作だが、単行本化された中身である各エピソードを読んでみれば、ロールケーキにシュークリーム、クッキーetc.と1巻分にしてはなかなかのボリュームだった。ずぶの素人にも比較的つくりやすいレシピが掲載されてるのも感じがいい。また、商社という一般的には実はそれほど馴染みのない業務もかなりストーリーに絡めており、思いのほか、サラリーマン無双ものとして楽しめるのもパッケージの完成度が高い。上手いとはいい難い絵柄も、コメディ基調が強い作風にベストマッチ。肩肘張らずに万人が親しめる作品。
- 作者: 佐々木善章
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/11/21
- メディア: コミック
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