秋はほんとうに突然やってきた …と思ったら数日後には最高気温が30度に戻っていたという、ね。
ファウスト('11/ロシア 監督:アレクサンドル・ソクーロフ)
ゲーテの原作から自由にイメージを膨らませた幻想譚という趣。この監督の作品はどこかふわふわしているというか、シリアスなストーリーでも何か空気が軽い。別にけなしているわけではないのだが、そのあたりをどう観賞すればいいのか、自分はいまだに分からない(といっても今まで観てきたのは「エルミタージュ幻想」と「太陽」だけなのだが。前者の方が名所紹介コンテンツとしてより楽しめたと白状するのは正直すこし恥ずかしい)。…というわけで途中でうつらうつらしてしまいつつ、映像的に純粋に印象が強いシーンだけ楽しむというていたらく(原作を読んでないので引き比べることも出来なかったこともあり)。が、まだあどけないうら若きヒロインに強く光があたる場面-公式サイトのメインビジュアルにもなっている-、彼女が驚いて壜を割ってしまうホムンクルスの生々しい動かし方など、そこそこ楽しめたとも言えないのではないかな〜 っと… 最後のシチュエーションは「ドン・キホーテ」を想起して、まるで途中で物語がすり替わったかのようでなんだか面白かった。
ねじまき少女(上・下)
- 作者: パオロ・バチガルピ,鈴木康士,田中一江,金子浩
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/05/20
- メディア: 文庫
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湿度の高い空気に息を圧されるように錯覚しつつも一気に読み上げた。大胆なSF設定を持ちつつも、ジャンル・ハードな作品では決してなく、むしろテーマとしては一般小説の方に近いのではないかとも思える。終わり方はあっけないと捉える向きもあろうかと思ったが、善悪を超えた一つのダイナミズムを予感させ、全体モチーフの一つにもなっている東洋趣味の昇華ですらある落としどころに、今はしごく納得している。