2018年2月に読んだ本まとめ

天才たちのつくった音楽の世界

B5判の多色刷り、イラストが多く親しみやすい。NHKアニメ「クラシカロイド」のキャラ設定と実在の天才音楽家たちとの共通点がたくさん見つかり楽しく読めた。音楽用語もできるかぎり易しく説明してある。ちょっとしたエピソードも入れ込まれているのだが、なかでもパガニーニが自分のリサイタルのチケットもぎりまでやっていたというのが面白くて印象に残った。
ヒトは「いじめ」をやめられない
コミュニティへの献身を行わずに恩恵だけをうける「フリーライダー(ただ乗りする人)」、そういった個体をあぶりだす心理機構「裏切り者検出モジュール」、そこからくる制裁行動「サンクション」。社会学用語や脳科学の最新の知見が非常に分かりやすく(日本人の80パーセントが“フリーライダー”が現れることを不安に思うという傾向の遺伝因子を持っており、その多さは元をたどれば社会機構が安定した江戸時代に由来するというくだりが特に興味深かった)といって情報密度の薄まりも抑えられている。基本にたちかえって考える時のために手元にガイドラインとして置いておきたくなる新書。ただ、後半の対処法に関して手垢のついた側面が少々あったのは惜しい。