ことし観た映画5選 (全体版)

単純に満足度と個人的印象の強度で選びます。
なおこちらも、当方地方在住ゆえ封切が昨年のもの有り。
1.この世界の片隅に('16 /監督:片淵須直):戦争映画のようでいて、女性映画のようであり、恋愛映画ともみえる、そんな人生映画。邦画にあらたな、新しい名作が生まれた。
2.クリムゾン・ピーク('15 アメリカ/監督:ギレルモ・デル・トロ):虚実織り交ぜてヒロインに切々と訴える階段踊り場のシーンに心底うっとりした。トムヒは世界の宝。
3.ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS- ('16/監督:熊切和嘉):弱い冬の光のもと、かつては約束の場所であった日本都市をさすらう魂の難民たち。自らを匿名的な存在に落とし込んだ主人公の、『ちゃんと裁いてやる』というセリフの重みが忘れられない。
4.キャロル('15 アメリカ・イギリス/監督:トッド・ヘインズ):クラシカルでいてアクチュアル、オーソドックスでいてプログレッシヴ。いろいろな意味で自分から遠い世界の人々の物語であったが、それでもなにか冷たく消えない炎が力強く心に残る。
5.リップヴァンウィンクルの花嫁('16/監督:岩井俊二)ニュータイプガンダムはいないけど、あむろが来る! それだけを信じて2017年も生きよう!

番外編:ことし再見した旧作映画1選
AKIRA(('88 /監督:大友克洋):ミニマムなストーリーにのせて綴られる一大破壊衝動絵巻。数十年前から「この街は色々な意味で飽和状態」だった。そんなこと、自分はいまだに分かろうとしてなかったんだ。いつでも時間の外周にいて、いつだって破滅の淵に世界は立ってる。この名作アニメを、昭和の残り香ただよう後すこしで取り壊される映画館跡で観られて本当に良かった。