紙の動物園

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

幼少時に家族に連れられて渡米した経歴を持つ、中国生まれの新進SF作家による短編集。趣向、アイデア、テーマすべてにおいて非常にバリエーションの幅が広い。民族的な傾向を感じられる儒教精神がエッセンスとして入っている物語もあるかと思えば、ドライにすべての要素をフラットな調理過程でもって仕上げたジャンル性の強い作品もあり、自由闊達な制作姿勢に読んでいて躍動感すら覚える。自分はやや古典的なSF短編小説である『もののあはれ』や『太平洋横断海底トンネル小史』、『心智五行』が好き。特に『心智五行』はロマンというかロマンスがあって、乙なものでした。