ドラマ「徒歩七分」全8話視聴完了

30分枠というドラマとしては短めな中で、30代はじめの女性が一人暮らしを始めたその空気感、宙吊りな気持ちを現実味をもって提示していた。五年も前に別れた恋人のアパートの部屋の前で無言で泣くという、自分の客観像があやしげな箱入り娘という主人公を、奇異な存在としてよりも“誰もが何かしら生活に不足を感じており、それが傷や色合いといった個性をもたらす”というおおらかな視点が全体に満ちており、(演出の趣向として)噛み合わないことが多いせりふのやり取りに笑ったりほのぼのしたりできた良作だった。特にドラマティックな事に遭遇しなくても、人は泣く。それを描こうとするドラマがもっと増えても良いと思った。