郵便局と蛇

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)

郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)

表題作はユーモラスで絵画的な詩のよう。それでいて物語の導入部を読んだような想像力への刺激を受ける。此岸と彼岸への往来が激しい作家で、地上の出来事のやりきれなさを淡々と描いてみせたと思えば、天上の奇跡をさらりと(それでいて鮮烈に)提示してくる。その双方が、同等の覚めて突き放したような距離感から立ち上がってくる。作品の数を読み込めば読み込んでいくほど、謎めいていく不思議なコッパードの短編群。