100歳の華麗なる冒険('13 スウェーデン/監督:フェリックス・ハーングレン)

ほのぼのヒューマンコメディかと思って観に行ったら、アナーキー・ブラックコメディだったので、これは嬉しい誤算。愛猫の仇をとらんとキツネの通り道に爆弾を仕掛けたことで入れられた老人ホームから、100歳の誕生日に(最後に見た愛猫の姿のように)窓から脱走したおじいちゃんが、ギャングややる気のない駅員、万年学生に象を飼う女etc.を巻き込み煙に巻いて、泰然自若に振舞うのだが、その回想交じりの展開はといえば車転覆あり、暴れる象のスペクタクルあり、橋梁爆破あり、スパイ合戦ありで、老人映画らしからぬアクション要素の濃さ。すべてを“人生何が起こるかわからないから仕方ない”で済ます老人の達観ぶりを、エゴイズムぎりぎりのユーモアで突き抜ける監督の人の悪さには、見終えた後に、老人の一般像のみならず北欧人のイメージさえ塗り替えられそうな具合。