とこよかくりよ

とこよかくりよ(1) (モーニング KC)

とこよかくりよ(1) (モーニング KC)

ありていにいえばゴーストバスターズもの。現代日本の風俗を盛り込んであるのが特徴で、イワクアリ不動産物件のトラブルコンサルティングの現場担当をフリーで請けている青年が主人公なのだが、その能力のコントロール方法の描写に偏執性のウェイトが置かれていて面白い。作者は活動の場をモーニング本誌から月刊モーニング2へと移したものの、題材は以前と変わらず民俗性の高い妖怪もの。しかしその演出具合は微妙に画面の中に置かれたうす暗い面に傾いて、つまりセリフで語られる分かりやすさを意識せずに表現されている部分が大きくなっており、作者本来の持ち味は、今作がもっとも出ているのではないかとも感じた。古い畳の陽に灼けたりシミが付いた印象を連想させるじめっとしたタッチながらも語り口はあっさりドライだというアンビバレント。やはり私はこの人の漫画が好きである。ところで、手指サイズの落ち武者のさほど害のない亡霊たちのビジュアルがなかなか強烈だが、かつてテレビによく出ていたプロ霊能力者・宜保愛子氏の体験談によく似たものがあって懐かしさを覚えた。