新聞の軽妙な読み物コラムで名物記者として鳴らしたサーバーによる、世の中と歩調がほんの少しズレている人々の行状を題材とした短編小説集。20世紀前半における
アメリカ風俗がページを繰る中で活き活きと甦ってくるあたり、視る角度を変えれば記録小説風味でもある。ほとほと自分自身がイヤになるような徹底した間の悪さ、それも続けざまに起こってしまうなんともいえない
バツの悪さ(『伊達の薄着じゃないんだよ』のクロークの場面!)は誰しもが体験した覚えがあるものだけど、そこに英雄ファンタ
ジーを妄想する展開をトッピングしたりと、ア
イデアのア
クロバット性は口当たりの軽さと比して意外と高い。想像力が豊かであるという資質が呼ぶ功罪を、読み終えたあとしみじみと考えてしまったり。