騎士の世界

図説 騎士の世界 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 騎士の世界 (ふくろうの本/世界の歴史)

ヨーロッパ中世のごく短い間に全盛期を持った騎士身分について概説した図版本(よろいやかぶとの種類を紹介したページが特に面白い)。文章がやや硬めで読み進めるのに思いのほか時間がかかった。その分、記述に精確を期しているとも言えそうだけど。王権や教会、商人階級など時代折々の主流階級に全面的に左右される流動的な階級だっただけに、物語で語られる「騎士道」はほぼすべてが架空の領域にあるものだったんだなとすら感じられる。しかしだからこそ、騎士たちの価値観やシンボル強度が現代の諸方面において影響をいまだ色濃く残していることの意味に、自然と思いを馳せてしまう。