機動戦士ガンダム サンダーボルト

第1巻で堅実に敷かれたストーリー布石が、第2巻において見事に誘爆的に展開を起こしており、単行本としてまとめ読みする効果や意義が大きく感じられた。限定的な戦域で、短い期間に行われた消耗戦という設定だけに悲惨さや激烈さは立て板に水状態。やったらやり返す、ブリッジが狙われれば兵員待機部が撃たれるといった感じで、ここまで連邦とジオンとの関係を相対して描いていた作品は無かったのでないだろうかとすら考える。それぞれの側に配置されたふたりの主人公にしても、連邦側つまりガンダムパイロットは人生の理不尽を戦場の昂奮で昇華している節を自らの口から語る反面、ザク(サイコザク!ありそうでなかったオリジナル設定)の狙撃チームのエースは、過去には戻れないことを承知で現在の地獄を乗り越えてより幸せな未来をつかもうと仲間に穏やかに語りかける。ガンダムもうこれ悪役じゃないですかー! やってくれたなという感じ。もっとやれーーー