ドラマ「泣くな、はらちゃん」放送終了

1クール分の中で3話ほどは未見だが、まあ展開を理解できないほどではないということで視終わった感想など。
まずは企画の立地点が素晴らしい。漫画作品から登場人物が現実化してその作者自身(かまぼこ工場に勤める30代独身女性で趣味は漫画をノートに描き付ける事という地味なもの!)と恋愛に落ちるというファンタジー色はプライムタイム枠ドラマでは異例なもの。それを地場感(ロケ地は神奈川県三浦市)あふれる町の様子をふんだんに借景して録るのだから、往年の大林宣彦映画のようなデジャヴュに満ちた郷愁感に存分に浸ることができた。特に自分がシビれたのはヒロインが母親・弟(ニートで無邪気ながら自己本位な行動が目立つというなかなか挑戦的な設定)とともに住む古びた一軒家の自室セット。明るさに欠けるものの、胎内回帰願望を叶えるような不思議な居心地のよさがあって思わず憧れる。
最終回での着地点は、虚構設定部分の解決性があやふやなのが惜しい。演出でもう一工夫あればそのあたりの不完全燃焼感はフォローできた気もする。ただ、ヒロインと近い立ち位置にあった年上のパート従業員の方の心理の決着ぶりはきちんと地に足がついており好感。