「実験刑事トトリ」全5話視聴完了

シリーズ通して印象に残るのは、犯人側の言い分、つまり殺人に至る動機へのバランスを取った共感の可能性についてのアプローチ。それが、ベッタリとした自己陶酔めいた後味を残さないのは、演出家の腕かなと思う。刑事ペアの掛け合いもテンポがよく、コメディ色の濃さと犯罪描写の直截さの兼ね合いにも違和感がなかった。動物学の世界から出向のような形で警察にきたという設定の活かし方は、第5話のクライマックスで犯人と一緒に"股覗き"をした都鳥の、いわば動物としての人間に興味を持つと同時に、殺人容疑者の人間らしさをすすんで発見しようとするという、極めて人間的な逆説の世界に一歩踏み出したかもしれない様子で、昇華があったように思う。西田征史氏の常どおり、シナリオに少々隙のある箇所が見受けられた(たとえば第5話、一年も犯罪準備を行ってきた用意周到な人間が重要な証拠品になるものを無造作に他人にゴミ捨てさせるだろうか?)が、それに目をつぶっても余りある楽しさのあるドラマシリーズだった。第二期が決定することに期待。